総裁再選後の安倍首相,山積する課題に直面
2015/09/15

 「安倍首相が無投票で自民党総裁に再選」。日本の各メディアは8日、そろってこの話題を伝えた。西側の国のいわゆる「民主的プロセス」を踏むとすれば、政党リーダーを選ぶには党内の選挙プロセスを経る必要がある。しかし日本の自民党が演じたのは、安倍首相の自作自演の「一人芝居」であった。(文:厖中鵬・中国社会科学院日本研究所副研究員)

 自民党総裁に再選された安倍首相は、自民党の3年という総裁任期に基づけば、2018年9月まで総裁を務めることとなる。つまり理論的には、安倍首相の首相としての任期も同年9月までということとなる。与党総裁の地位を守った安倍首相にとってはトントン拍子というところだが、今後の数年は安倍首相にとって容易なものとはならないだろう。政権運営には数々の難題が待ち受けており、その道のりは長い。

 第一に、日本の内政から見ると、10カ月後には参議院選挙(2016年7月)がある。これは安倍首相とその率いる自民党にとって、決して容易とは言えない政治的な試練となる。

 参議院選挙は、衆議院選挙のような政権交代のかかった総選挙ではない。しかし日本では、参議院選挙での失敗は、首相の政権運営にとっての致命的な傷となる。第1次安倍内閣の退陣の導火線となったのは、2007年7月の参議院選挙における自民党の大敗であった。

 日本の各与野党は現在、来年の参議院選挙に向けて着々と準備を進めている。自民党内部も一枚岩ではない。早くから主流派と距離を取っていた石破茂は9日、自らの政治派閥「石破派」の結成を準備する意図を公にした。石破本人も記者に対し、自らの派閥を結成するのは「ポスト安倍時代」を見据えたものだと語った。石破が「石破派」を結成する目的は二つある。第一に、来年の参議院選挙をめがけ、自らを支持する人々を引きつけ、拡大する。第二に、今後3年以内に安倍首相が予想外の事情で突然退陣した場合、石破自身が首相の座を手に入れるためである。

 野党側も来年の参議院選挙を局面逆転のチャンスととらえており、各政党はこれを大きく重視している。野党の最大目標は、参議院選挙を通じて「ねじれ国会」の局面(衆議院は与党が多数、参議院は野党が多数の状態)を作り出し、与党による審議をボイコットし、与党の制定する法案がスムーズには通過しないようにし、与党の戦略を乱し、与党の内輪もめを引き起こし、首相の退陣を実現することである。

 このため安倍首相にとっては、日本の政治は予想しがたい波乱を含んでおり、今後10カ月は慎重に事を進める必要がある。少しでも気を緩め、政治的なミスを犯せば、野党がこぞって攻撃する標的になり、参議院選挙で受け身の局面に置かれることとなる。

 第二に、日本経済を見ると、実施から3年近い「アベノミクス」はそれほど大きな効果を上げられていない。今後3年は安倍首相にとっては、「アベノミクス」の舵をどの方向に向け、日本経済の景気を根本から回復し、日本の幅広い民衆の支持を勝ち取るかが、真剣に答えるべき難題となっている。

 最新データによると、日本経済は2015年第2四半期、年率換算で1.2%のマイナス成長となった。東証株価指数は、8年ぶりにつけた高値から1カ月以内にいっきに15%以上下落した。「アベノミクス」に対する日本の民衆の信頼は低下しており、「日本経済新聞」が8月31日に発表した調査によると、安倍首相の経済政策を評価する人は37%、評価しない人は45%だった。

 「アベノミクス」が実際にどれだけ効果があるのかには疑いの声が多い。日本の「東京新聞」の8日の報道は非常に的を得たものだった。これによると円安によって中小企業は原料の輸入コスト増大の苦境に陥り、一般民衆の賃金の上昇幅は物価の上昇に追いつかず、さらに消費税の8%への引き上げや食品価格などの上昇で消費者の負担は高まっている。生活保障補助を受けている家庭の数は過去最高を更新し続けており、人々の経済格差が広がり、二極分化が激しさを増している。

 もしも今後3年で「アベノミクス」の各措置が「打ち出すのは易しいが実施は難しい」という段階にとどまり、庶民の受ける恩恵が少ないまたはまったくないという状態が続けば、「アベノミクス」のマイナス効果が明らかになっていくことだろう。来年の参議院選挙でも、もしも一般有権者が「アベノミクス」が自身に利益をもたらさないと判断すれば、「アベノミクス」は安倍政権のポリティクスにも影響を与え、参議院選挙では、安倍首相が「アベノミクス」によって足を取られる状況が出現することも否定できない。

 もちろん安倍首相本人も「アベノミクス」がマイナス効果を持っていることをわきまえている。8日に発表した総裁選挙に向けた政策見解では、デフレ脱却のために政権運営では経済を再優先に考えるとの態度を強調した。自民党の谷垣禎一幹事長も安倍首相に対し、安保法案の通過後は内閣の仕事の重心を経済政策に置くことを提案している。だが日本経済にはマイナス要因が蓄積しており、景気を根底から回復して経済の急成長を実現するためには、「アベノミクス」にはこれからも多くの課題に直面することになる。

 また重要な外交と安全保障は今後3年、安倍首相の政権運営能力を試す大きな問題となる。安倍首相が強力に推し進める安保法案は27日の国会会期末までに、安倍首相と連立与党の働きかけの下で通過することが予想される。だがそれに続く問題となるのは、安保法案が通過した後の安倍内閣が、日中関係や日韓関係、日露関係、さらには集団的自衛権行使での米国との連携など、取り扱いの難しい一連の外交問題にいかに対応していくかということになる。第2次安倍内閣は発足以来、非常に敏感な第2次大戦における侵略の歴史の問題で、被害国と国民を刺激し傷つける言動を繰り返し、歴史修正主義への道を転がり続けている。日本と隣国との関係はこれによって冷え込み、日本と中露韓などの隣国が同時に外交的な行き詰まりに陥るという珍しい事態が出現している。この結果は当然、安倍内閣が自ら作り出したものである。再び3年の任期を手にした安倍首相がこうした一連の外交の難題をいかに処理するかは、今後3年の政権の安定を占う試金石となる。

 外交と安全保障について安倍首相が直面しているのは、安保法案通過後に日本が、米国と連携して集団的自衛権を大幅に行使すると同時に、日中関係や日韓関係、日露関係において有効な戦略的発展を実現しなければならないという複雑な局面である。両者に矛盾はないのか。集団的自衛権の行使と日米同盟、隣国との外交の行き詰まりの解決、これらは一つ一つがつながった鎖のような問題で、単独で考えたり、ほかと無関係に処理したりはできない問題である。日米同盟で連携しながら集団的自衛権行使の目的を果たそうとすれば、集団的自衛権の拡大による日本と隣国との関係悪化を招くのは必至だ。

 日本国内では安保法案に抗議する民衆がますます増えている。もしこれがさらに拡大すれば、安保法案は諸刃の剣となり、隣国に脅威を与えると同時に、安倍首相と連立与党と多くの日本国民との関係を断絶するものとなり得る。より多くの日本国民が安保法案に反対するようになれば、今後3年で、安倍首相の政治的なセールスポイントであった安保政策は、長期政権実現という安倍首相のねらいを阻む要素となる可能性もある

「人民網日本語版」2015年9月14日

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