安倍政権が開けた「パンドラの箱」 新防衛白書発表
2014/08/07

 日本政府は5日、2014年版の「防衛白書」を了承した。今年の白書は、安倍首相が再任してから日本当局によって安保政策と防衛体制に加えられた一連の調整を踏まえ、日本の今後の防衛の政策と方向の重大な転換を確認するものとなった。(文:沈丁立・復旦大学国際問題研究院副院長、教授。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)

 白書には、日本政府が昨年12月から打ち出した一連の安全保障・防衛方針による政策と体制の転換が反映されている。これには、初の国家安全保障戦略、新たな防衛大綱、中期防衛力整備計画、国家安全保障会議の創設、武器輸出の解禁、さらに7月の安全保障法制整備のための閣議決定、即ち集団的自衛権の容認が含まれている。新たな白書は、安倍政権の軍事政策の集大成と言える。

 安倍政権は、安全保障政策についての一連の調整によって、複数の目的を一挙に実現しようとしている。米国と連携してアジア太平洋における主導的地位を取り戻し、日本に対する米国の軍事的な束縛を打破し、中国の戦略的な台頭を牽制するという目的である。集団的自衛権容認の閣議決定では依然として法的制約があるため、できるだけ早く憲法を改正することが安倍政権の中心的な課題となる。日本政府の了承した新たな防衛白書は、憲法改正実現のための準備の一つとなる。

 日本政府は再軍備と交戦権獲得のため、周辺の安全保障環境の悪化、とりわけ中国の台頭や海洋進出、軍事発展の不透明性を口実としている。日本の新たな防衛白書はこうした記述が多く見られるが、これは米国の打ち出す「アジア太平洋へのリバランス」と一致している。米国は長期にわたって地域レベルと世界レベルでの覇権を追求しているが、こうした能力は、世界経済のグローバル化と米国が発動した反テロ戦争によって瓦解しつつある。米国は自らの強権的な理念を反省することなく、世界中で一時しのぎの調整を行ってアジア太平洋地域での覇権を維持しようとしているが、これを持続させることは不可能だ。

 劣勢に立たされつつある米国が日本に対する縛りを緩めたことは、確かに日本の一部の人には戦略的なチャンスを与えており、安倍首相とその周辺がこれを見逃すはずはない。だが日本政府による集団的自衛権容認の3要件は説得力を欠いている。日本の平和憲法が求めているのは、日本の防衛力を専守防衛の目的に限定するということだ。一万歩譲ったとして、日米安保体制の下で日本と米国が連携して防衛行動を取ることができるとしても、集団的自衛の名の下で共同侵攻ができるはずはない。

 米国は建国から2世紀余りにわたって、対外拡張や他国への攻撃を少なからず行ってきた。米国の軍事介入にはいかなる自衛性もない。だが日本はこれまで集団的自衛権を持っていなかったことから、米軍とともに他国に被害を与えることはできなかった。日本が戦後、平和を保ってきたと言えるのは、この制限があったためだ。

 安倍首相の主導の下、日本の内閣はついに集団的自衛権を容認し、「パンドラの箱」を開けた。もしも安倍首相が憲法の改正を実現したなら、この島国が今後も平和を維持できる法的な保障はなくなる。人々は日本が軍事的な再拡張が免罪されるということを心配しているわけではなく、日本がもし再度侵攻すれば、日本自身がより深刻な損害を受けるということを心配しているのだ。極端な民族主義という道を再びたどった日本がコントロールを失い、地域と世界を再び破壊することは誰も望んでいない。

 日本の運命は日本にかかっている。同様に各国の運命は各国が握っている。安倍首相による集団的自衛権の容認はすでに日本の人々と各界の反対を浴びており、憲法改正は容易ではない。米国が覇権を維持したいのはわからないでもないが、その視野の狭い融和的な態度は理解し難い。中国国民は警戒を維持しなければならない。我々は平和を愛すると同時に、平和を維持する能力を持たなければならない。

「人民網日本語版」2014年8月7日

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