中国経済は「新常態」へ 日系企業の発展は?
2016/03/11

 2010年に中国の国内総生産(GDP)が日本を抜いて世界2位になると、中国経済にはそれまでの30年間とは明らかに異なる特徴がみられるようになった。成長率が徐々に鈍化し、14年には7.3%に低下した。こうして中国経済は「新常態」(ニューノーマル)の時代に突入し、重点任務がイノベーションと経済の構造調整へと変化した。人民網が伝えた。

 こうした経済情勢の下、中国の日本企業の経営状況はどうなっているだろうか。日系企業は中国事業をどのように考えているのか。中国の日本企業の今後の投資の方向性や事業発展の方向性はどこにあるか。これらの点をめぐり、日本貿易振興機構(ジェトロ)は8日に北京で「『新常態』に向けた構造調整における日本企業の中国事業」と題する説明会を開催し、北京事務所の田端祥久所長が詳しい説明を行った。

 ▽日系企業の半数以上が「現状維持」を希望 「内販型ビジネスが方向性」が主流に

 田端所長によると、ジェトロはこのほど「2015年度在アジア・オセアニア日系企業実態調査」を行い、日系企業の中国事業の経営状況、今後の発展について分析を行った。調査の結果をみると、「今後1~2年間の事業発展の方向性」については、「事業を拡大する」と答えた企業は38.1%で、1998年の同調査開始以来、初めて40%を下回り、昨年の46.5%から8.4ポイントも減少した。「現状維持」とした企業が最多で53.1%を占めた。「投資を縮小する」、「移転する」、「撤退する」が10.5%で、昨年の7.5%から3ポイント増加した。

 田端所長はこうした数字について、「日系企業全体が投資意欲を低下させているわけではなく、業種や地域ごとの違いが大きい」との見方を示した。業種別にみると、非製造業は「事業拡大」の割合が製造業よりも多かった。また食品、輸送機械、卸売・小売などの中国の国内市場に方向性を定める企業は「事業拡大」の割合が高かった。繊維などの輸出加工型企業ではこの割合が低く、20%を割り込んだ。地域別にみると、湖北省、北京市、上海市など域内での販売の割合が高い地域で発展する企業は事業規模拡大の意欲が相対的に強く、山東省や遼寧省など輸出の割合が高い地域で発展する企業は事業拡大の意欲が低かった。

 同時に、商務部(商務省)がここ数年発表している日系企業の対中投資の金額と新規投資プロジェクトの件数を分析すると、主に次の3つの特徴があることがわかる。(1)昨年第3四半期(7-9月)に日系企業の投資額がさらに減少した。(2)08~15年のデータをみると、各四半期の投資額は10億ドル(約1171億円)前後。平均値をみると、14~15年の投資額に大幅な低下はみられず、これは11~13年の投資の伸びが相対的に過剰だったことを別の面から物語る。投資の激増を招いた原因は中国経済の発展の速さ、円レートの高さにあり、これが海外投資にプラスにはたらいた。(3)新規調印された投資プロジェクトをみると、15年第3四半期は前四半期に比べて大幅に増加しており、このため今後の投資額は増加傾向を示すことが予想される。

 15年の計画として「投資を縮小する」、「移転する」、「撤退する」を挙げた企業の割合が増えたことの主な原因として、田端所長は企業の売上高の減少、人件費の上昇、発展の潜在力の低下を挙げる。

 ▽「新常態」の下の日系企業 事業構造の再編がぜひとも必要

 調査結果を検証するため、ジェトロは中国の日系企業27社に対するアンケート調査も行った。それによると、多くの企業が中国経済の成長ペースの鈍化を実感していると答えたが、楽観的な態度を維持するとともに、中国市場に合わせて事業構造の調整を行う必要があるとの見方を示した企業が少なくなかった。

 調査によると、中国の経済成長率はやや鈍化したに過ぎないとし、今後の動きに期待する企業があった。また中国経済は「新常態」に突入したが、経済成長率は引き続き高水準で、市場の潜在力も大きく、産業は高度化の方向へと発展しつつあり、個人消費にはまだ大幅な低下はみられず、消費は依然活発で、質の高い製品に対する中所得層の消費意欲は衰えていないとみる企業もあった。

 アンケート調査で、一部の企業は中国市場に対して事業調整を行うとの積極的な姿勢をみせた。こうした企業は現在の企業の事業と市場には不釣り合いなところがあり、取り扱う製品の強みが中国の市場環境に適合しておらず、ビジネスモデルを改善し、戦略を調整する必要があるとしている。また一部の企業は中国市場は環境、健康などの分野に潜在的かつ巨大なビジネスチャンスがあり、新型事業を開拓して新たなビジネスの流れを生み出し売上高を伸ばすために努力すると答えた。

 ▽製品は加工型低付加価値製品からハイテク高付加価値製品へと発展

 ジェトロは中国の日本企業に対する「実態調査」だけでなく、日本国内の企業141社(中国にある日系企業の本社)に対しても補助調査を行った。「中国経済のペースダウンが全体として企業の事業に影響を与えているか」との質問に対し、「マイナス影響がある」とした企業が30%前後を占め、「プラスの影響もあればマイナスの影響もある」は60%に達した。「今後、中国事業を拡大する計画がある」としたところは43%を占めた。

 多くの企業が、消費、情報通信技術(ICT)、環境、健康、介護、物流、中・小型自動車などの事業を拡大したいと答えた。円安や中国の人件費増大にともない、企業は低付加価値製品から高付加価値製品へと移り変わる傾向をみせている。

「人民網日本語版」2016年1月12日

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